熱性けいれん
乳幼児期に発熱とともに全身のけいれん(ひきつけ)を起こす病気で、10人に1人くらいはなるので、めずらしくはありません。原因ははっきりしていませんが、ほとんどの場合でけいれんは5分以内に自然に止まり、後遺症などの心配はありません。小学校に行くころには自然に起こさなくなりますし、“熱性けいれん”と“てんかん”はまったく別の病気です。
熱性けいれんを起こしたお子さんの3人に2人は一生に1回だけですが、3人に1人は2回目を、2回目を起こした子の3人に1人は3回目を起こします。
けいれん時の対応
あわてない
- ほとんどのけいれんは数分間で止まります。命に関わることはまずありません。
安全の確保
- 口の中に指、おはし、タオルなどを入れるのは危険なので、しないでください。
- 平らな場所に静かに寝かせて服をゆるめ、横を向かせます(吐いたものがのどにつまらないように)。
けいれんの観察
- 余裕があれば、時間を計って(何分続いているか)、どのようなけいれんか後で報告できるようにしっかり観察します。
- 動画を撮影するのもおすすめです。
けいれん後の対応
- けいれんが止まったら、呼びかけに反応するかなど、意識状態を確認してください(意識が戻るのには、通常数十分かかります)
- 熱性けいれん以外の病気の可能性もあるので、病院を受診してください(自家用車でも構いません)。
熱性けいれんの再発予防
数分で自然に止まる熱性けいれんであれば、何回起こったとしても、通常は予防の必要はありません。ただし、短期間に繰り返す場合や、長時間続くけいれんを起こした場合は、発熱時に予防薬(ダイアップ)を使用することがあります。
予防薬を使用するか、いつまで使用するかなどは、主治医と相談してください。
こんな時はすぐに救急車を
- けいれんが5分以上続いていると
- 1日2回以上けいれんを繰り返すとき
- けいれん発作のあとに麻痺が残ったり、20分以上意識が回復しないとき
熱性けいれんの再発予防
数分で自然に止まる熱性けいれんであれば、何回起こったとしても、通常は予防の必要はありません。ただし、以下の①または②の場合には、今後の発熱時に予防薬を使うこともあります。
- けいれんが15分間以上続いた場合
- 次のうち2つ以上があてはまるけいれんが2回以上起こった場合
- 24時間以内にけいれんを反復した
- けいれんの動きが左右で異なる
- 発達の遅れがある
- 熱性けいれんまたはてんかんの家族がいる
- 1歳未満のけいれん
- 発熱から1時間未満で起こったけいれん
- 38.0℃未満で起こったけいれん
予防薬の使い方
薬
ダイアップ(ジアゼパム)坐薬という薬を使います。常備しておくとよいでしょう
いつ使うか
37.5~38.0℃を超える熱が出はじめたとき、なるべく早く使います。8時間後も熱が続いていたら、もう1回使います(1回の発熱に2回で終了です)。
いつまで使うか
最後にけいれんを起こしてからおよそ1~2年間、または4~5歳ごろまで、熱が出
るたびに使用します。
注意点
お薬の影響で眠くなることや、ふらつくことがあります。転んで頭をぶつけないように注意してください。
解熱剤の坐薬と同時に
使うとき
ダイアップ(ジアゼパム)の坐薬を先に入れて、30分以上たってから解熱剤の坐薬を使用してください。
熱性けいれんと予防接種
熱が下がれば通常どおりワクチンを接種できます。ただし、接種時期は主治医と相談してください。
熱性けいれん予防投与とは
熱性けいれんと診断された方のうち、重積(15分以上起こる発作)や短期間での繰り返す発作などでは発熱時に抗けいれん剤(ダイアップ座薬)を予防的に使います。
発熱した時の対応方法
注意:熱性けいれんは発熱後24時間以内に起こりやすいと言われます。
ダイアップを8時間間隔で2回使うことで、約24時間効果が続きます。
また、3回以上使うと副作用(眠気、ふらつきなど)が強くなるため、推奨されません・
『1つの発熱にはダイアップ2回まで』と覚えてください。
もしけいれんしたら
けいれん発作の持続時間が5分以内の時…原則その場でダイアップは使用せず、そのまま病院を受診してください。
5分以上続くとき…原則ダイアップは使用せず、救急車を呼んでください。
受診した時、医師にけいれんの状態やダイアップを使用したかどうかご報告ください。
いつまで予防投与するのか
通常は1~2年間経過観察をして発作が生じないことを確認するまで、または4~5歳になるまで継続します。また副作用の程度や体重に応じてダイアップの用量を変更する場合もあります。
詳しくは主治医までご相談ください。
てんかん
てんかんは、脳からの異常な電気信号が原因で、けいれん(ひきつけ)などの発作を繰り返す病気です。多くの場合、けいれんをおさえる薬(抗てんかん薬)を指示通りに飲むことで発作を防ぎ、ふつうの日常生活を送れます。子どものうちに診断されるてんかんの3人に2人くらいは、大人になるまでには薬をやめることができます。
診断
- 脳波や頭部画像検査(MRIなど)を行うことがありますが、診断は発作を繰り返す症状からなされます。
- 脳波や頭部画像検査は、てんかんの種類や治療薬を決めるために行います。
治療
-
薬を指示どおりに飲んでください
基本となる治療は、薬を指示どおりに規則正しく飲み続けることです。「調子が良いから」と薬を勝手に減らしたり、やめたりすると、発作が起こることがよくあります。薬を飲み始めてしばらくは、眠くなることがありますが、勝手に薬をやめずに、主治医と相談してください。 -
定期的に診察と検査を受けてください
家庭で気をつけること
日常生活、学校での生活に関しては、主治医から具体的な指示を受けてください。
副作用
眠気、ふらつき、発疹などに注意が必要です
規則正しい生活
生活が不規則になると発作が出やすくなります
水の事故
一人での入浴やプールでの事故に注意が必要です(見守りが必要)
高所・交通事故
一般にてんかん発作は日中や活動中には起こりにくいとされていますが、日中にも発作を繰り返すタイプでは注意が必要です
こんな時はすぐに救急車を
- けいれんが5分以上続いていると
- 1日2回以上けいれんを繰り返すとき
- 発作後20分以内に意識が回復しないとき